会社に勤めていた頃、秘書的な役割をする女性がいました。だからといっ
て、彼女は僕の個人秘書ではありません。僕は雑誌の編集長をしていて、彼女は
その編集部の事務の仕事をする人でした。
でも、時には僕の秘書としての仕事もしてくれました。
あるとき、僕が彼女に、
「あのう、あれ……」
と言っただけで、彼女は僕が何を探していたのかわかり、それをさっと差し出し
てくれました。
最初に説明したとおり、彼女は僕の個人秘書ではありません。編集部全体の事
務の仕事をするのが、彼女の役割だったのです。にもかかわらず、僕が「あれ」
と言っただけで、僕の欲しいものがわかったのです。
正直なところ、僕は驚きました。
気の利いた女性はモテます。頑張ってください!
似たような経験をこのあいだ、僕はあるレストランでもしました。たまにラン
チを食べに行くお店で、僕は食後につまようじを頼もうとしたのです。そして、
店内にいるウェイトレスの人を見つけようとしたとき、顔なじみのウエイトレス
がさっと小さなつまようじ入れをテーブルに置きました。
「そろそろ、言われるかと思って」
と、彼女は言いました。
僕がそのレストランに行くのは、せいぜい月に2,3回です。比較的長いつき
あいにしても、その程度の頻度です。彼女を知ってから1年ちょっとだと思いま
す。秘書役の女性だって、会社の決まりで1年で辞めていくアルバイトです。気
がつく女性は短い期間でも、人のことをしっかり観察しているものだなと、僕は
感心しました。そんなふうにされたら、男はその女性が好きになります。
本当に単純かもしれませんが、たったそれだけのことで女性を好きになるのが、
男なのです。


参考: